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2011年3月 3日 (木)

薄煙

午後、すさみ町の山の中に入った。

何度か通うこの道で、暮らす人がいるのかどうか分からない一つの集落を、これまで通り過ぎていた。

今日は、光が明るかったので、車を止めその集落そばの谷に入ってみた。

田には枯れ草が残り、鹿の足跡と、倒れた獣避けの柵、背が高くなったシキミ、その先に雨戸の閉まった家が3.4軒、振り返ると、小さなお堂と歴史のありそうな墓が一段高いところに見える。

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谷の流れが光に輝いても、流れの音が清々しくても、そのような風景に出会うと、辛くなる。気持ちだけでなく、心臓まで異常な動きになる。それは明らかにときめきとは正反対の鼓動です。

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谷に沿って続く田に作業用の道を整備したのはつい最近のようです。少なくとも去年は耕作しなかった田は、今年も耕作されそうにない。それらに反するように透明感いっぱいの豊かな谷の流れ。

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私は、豊かな自然に働きかけ生きてゆく人の営みが消えてゆく現実がこわいのだろう。この風景の中にいると、同じような山村にくらす行く末と重ねて、自分の今というものがすごく無意味に思え辛くなる。

そのように気持ちを整理したとき、

人がいないと思った屋根の向こうに、風呂でも沸かしているのかかすかに煙が見えた。

『ここを離れるのは今だ』と少しほっとしながら私は谷を出た。

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(富田川に咲いた水仙)

自然に感謝しながら今を一生懸命生きようと思う。

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